公明党の八重樫です。自民党提出の本協議会の廃止の申し入れの動議に対する我が会派の意見を申し上げます。
我が会派は、大都市制度改革の必要性や総合区のメリットなどについて、住民目線で議論していくことが極めて重要であると考えており、大阪市民だけでなく府民の皆さまにもご理解いただきたいという思いで、本協議会に参加しています。
協議会はこれまで11回開催されてきましたが、総合区・特別区両制度についての議論が十分尽くされているとは言えない状況であり、引き続き、議論を重ねていくとともに、住民の皆さまの理解も深めていく必要があると感じています。
私どもは、大阪における大都市制度改革としては総合区制度がより優位であると考えておりますが、今後とも、よりよい制度案づくりに向けて、本協議会や大阪府議会、大阪市会で真摯に議論していく必要があることを申し上げます。
最後に、現在、万博を誘致するため、府市の行政、議会がともに一丸となって誘致活動を行っており、11月の開催地決定に向けては、今が一番大事な時期であると強く感じています。
大都市制度改革も、将来の大阪のあり方を決める非常に重要な課題であり、活発に議論していく必要がありますが、まずは万博開催を確実なものとするためにも、そちらを優先的に取り組むことも必要だと思います。知事・市長におかれては、そういった柔軟な姿勢を持って取り組んでいただくことをお願いしておきます。
以上、我が会派の意見表明といたします。
(私くしの質疑)
公明の辻でございます。先ほど守島委員からも質疑がありましたけれども、先日の4月の6日の本協議会におきまして、大規模プロジェクトの財政的影響額が示されました。
この間、特別区を設置すれば、広域と基礎の役割分担が徹底され、広域機能については、大阪府が特別区を包括する新たな広域自治体として、大阪全体の成長、都市の発展、安全安心に関わる事務などを実施する。基礎自治機能については、それぞれの特別区が住民ニーズに沿った身近なサービスを実施するという説明がなされてきました。政令指定都市の大阪市を廃止して、大阪府が広域行政について全ての責任を負うというものであります。
当然、市民の皆さんは、広域行政の一元化によって、権限・財源ともに大阪府が責任を持つというふうに理解しているわけであります。広域行政に係る事業は大阪府が、新たな財源となる財政調整財源ではなくて、現在の府税で対応するものと思っている方々がほとんどではないかなというふうに思います。
特別区民となる大阪市民だけが、莫大な特別区の設置コストを負担させられることに加えて、広域行政についても、今までと同じように、負担させられ続けるのであれば、大阪市を廃止する意味はないし、本来、特別区に残されて、特別区長が住民ニーズを踏まえ身近なサービスに使うべき財源が、大阪府に単に付け替えられるだけで、基礎自治体の原資が増えるわけでもなく、ニア・イズ・ベターの実現にはほど遠いのではないかなというふうに思います。
しかしながら、先日示された大規模プロジェクトの財政的影響額の資料では、「大阪府の収支に大きな影響は及ぼさないので、大阪市民(特別区民)だけが負担する財政調整財源の大阪府と特別区の配分割合は変更しないことを基本」とされています。本日配られた大プロの3ページのところに書かれております。
この考え方は、特別区を設置する理念と矛盾するんじゃないでしょうか。この点を確認していきたいというふうに思います。
私の地元の東住吉区は、天王寺区、生野区、阿倍野区、平野区とともに第4区(南区)ということになりますが、東大阪や八尾市、豊中市などと同様、一つの独立した自治体になるという認識でおります。
今回示された淀川左岸線(第2期)、淀川左岸線(延伸部)、なにわ筋線について、その財源として第4区民(南区民)も負担する調整財源が充てられております。しかしながら、第4区の南区の区域は、いずれの線も通らない。東大阪、八尾、豊中などと同じであります。
第4区民(南区民)は、東大阪や八尾市、豊中市などの市民と同様、大阪府民として大阪府税を負担することになっております。
このことから分かるように、第4区(南区)の区民は、東大阪、八尾、豊中などの市民と違って、通常の大阪府民としての負担に加えて、財政調整財源という形で、二重の負担をすることになるんではないでしょうか。
このような制度設計で、本当に特別区民の目線に立った制度設計と言えるのかどうか、手向局長の見解をお伺いいたします。
(事務局:手向副首都推進局長)
特別区素案における制度設計は、現在大阪市が担っている機能のうち、広域機能については大阪府に一元化し、基礎自治機能を特別区が担うという事務分担により、成長の果実を元にした豊かな住民生活を実現することを基本方針として、住民重視・特別区重視の観点から行なっております。
財政調整の面では、大阪市の税・地方交付税等の財源を、特別区と大阪府の事務分担に応じて配分する制度設計としたことで、サービスの担い手や税の納め先、これが変わりましても、特別区と大阪府が現行の住民サービスを適切に提供できるようにしているところでございます。
大都市地域には、人口や企業が高度に集中し、特有の行政需要と税収力が一体的に備わるという地域特性がございます。都区制度は、そうした地域特性がとりわけ強い地域において適用される制度でございます。
その特徴の第一は、大都市地域において複数の特別区を設ける一方、行政の一体性・統一性の観点から、広域自治体である都、今回大阪府では府となりますが、都が市町村事務の一部を担うという事務分担にございます。
第二の特徴は、全特別区の区域から得られる財源の一部を、全特別区と都の共有財源として財政の調整を図るという財源配分にございます。
こうした特徴から、事務と財源に関する都と特別区の関係は、自ずと一般の道府県と市町村の関係とは異なるものとなり、単純に比較することはできないものでございます。
なお、現在大阪市が実施している広域的な事務にかかる財源負担のあり方という観点では、現在大阪市民として負担いただいている分と、特別区民として負担いただくことになる分とでは、住民負担の構造は何ら変わるものではないという風に考えております。
(辻委員)
非常にわかりにくいんですよね。今、ご答弁の中でもその成長の果実って、この資料にも書いてある、それ何なんだろうかってのをすごく考えてるんですけど、額も示されていないし中身も示されていない。それをもとに豊かな住民生活を実現することが基本方針になってるんですが、その基本方針の中身結局わからないんですよ。何がどうなるのかって言うのは非常に複雑怪奇になってます。
一応、現行の住民サービスを適切に提供できるようにしたところとおっしゃいましたけど、ニアイズベターなので現況以上やないとおかしいんですよ、やっぱり。ベターなんでね。特徴の第一としていわゆる広域自治体である都が市町村事務の一部を担う。これはわかるんですよ。410の事業、今大阪市が担っている港湾であったり下水であったり水道であったり、まあ市民生活に結び付くものですけども、そのエリアを広域に広げて担っていただくというのはわかるんです。
ところが、第二の特徴と言われるところで、非常に今仰ったけれどもこれは理解不能だと思います。全特別区の区域から得られる財源の一部を全特別区と都の共有財源として、財政の調整を図るという財源配分であると。非常にわかりにくくなってます。事務と財源に関する都と特別区の関係は自ずと一般の道府県と市町村との関係とは異なると仰った、今。
先日テレビを見ていたら特別区は一般市と変わらないんですと、はっきりキャスターの方がおっしゃってました。それは、みなさんずらっと並んだ方々、同意をされてた。一般市と同じならばある方が、それならば市にすればいいじゃないですかって言ったんですけど、それは却下されたんです。不思議な話です。ということは、やはり一般の市とは違うんだ、特別区は、ということに、今、ご答弁いただいたと思います。
だからこそ、住民の負担の構造は、何ら変わることはないということで、いわゆる配分割合は変更しないと。特別区民にもビッグプロジェクトについては払っていただくんだというようなご回答でしたけど、これね、私の質問に全く正面からお答え頂いていないという風に思います。特別区を設置することによって、大阪市が現在担っている広域事業を大阪府が一元的に実施することになる、その事業の実施にあたっては、大阪府は府下全体の成長、府下全体の安全・安心の視点で事業を実施するのであって、何も特別区のエリアだけを視点とした事業をするわけじゃないはずです。
だから、なぜ特別区民だけが負担することになるのかということをお伺いしたわけですけれども、今の答弁じゃ全く納得できないという風に思います。これでは、広域一元化というのは名ばかりでありまして、大阪市を廃止する意味など全くないという風に思います。広域行政の一元化が必要であるならば、本当に必要な事業のみを精査をして大阪府に移管すれば済む話ではないですか。コストもかかりません。特別区の設置によって、大阪市が廃止されることになりますが、それによって、大阪市からどのような事業をどれだけの財源が大阪府に移管されることになるのか、かつ大規模プロジェクトなどを含めて、その移管される事務にかかる財源は、財政調整財源、すなわち府下の他の市町村民と違って、大阪市民(特別区民)だけが負担させられる財源であるということ。
水道や下水など、本当に身近な市民生活に担われるようなサービスに使われるなら分かるわけですけれども、市民の方が本当に理解できるまで丁寧にきちんと説明をしてもらわないと、今の口頭だけではわからないという風に思います。一度膨大なコストをかけて特別区を作ってしまう。大都市税財政制度特別委員会でも指摘しましたけれども、ほとんど起債をしなければいけないので、起債償還までの31年間で約1,752億円、特別区を作るときにかかるわけです。そういうことを考えると本当に慎重な議論をしてですね、数字をきちんと示して頂かないと市民のみなさんは納得できない理解できないという風に思います。
本来、住民サービスに使われるべきお金が大規模プロジェクトのような想定外の費用です、コストに流用され、結果的に住民サービスが維持できなくなる。つまり、今まで大阪市が担ってきた、大阪府では広域的と言われているような、市民生活に密着したような事業、410の事業ですけれども、これが維持できなくなればですね、取り返しがつかないことになる。なぜかと言いますと、下水にしろ水道にしろ、老朽化率日本の中で実は大阪市がワーストです。下水なんか40%老朽化です。東京は9.何%です。それを今移管するということになれば、大阪府はすべてを担っていただかないといけないし、財政調整財源をフルに投入しないと到底もちません。
そうならないようにですね、財政調整制度についての議論を行った後になるという風に思いますけれども、この間、市会でも申し上げてきました、まだまだあります。敬老パス、保育所の整備、校舎の狭隘化、幼児教育の無償化、大学キャンパス、これも新しくあがってきましたけれども、また弘済院の建替えも、これも大学の事務になりました、また施設の大規模修繕などの将来発生することが想定される、これは大阪市内に1,500の公共施設があります。これが30年40年のスパンになりますけれども、大改修をしなければならない時期がやがてくるということになりますので、それも想定されなければなりません。厳しい厳しい財政シミュレーションを行うべきであるということを強く申し上げて私の質疑を終わらせていただきます。
(山田委員の質疑)
公明の山田でございます。引き続き質疑させていただきます。
2月22日の第8回協議会において、区割り案が4区B案に絞り込まれ、これを受けて、4月6日の第9回協議会において、特別区の名称、特別区本庁舎の位置、区議会議員の定数などが事務局から示されました。
この間、我が会派としましては、特別区の設置コストについて、上振れする可能性があり、これが特別区の財政運営に多大な影響を及ぼし結果的に住民サービスの低下を招く恐れがあるということを指摘し、精緻な検討を行うべく、市会の大都市税財政特別委員会において、様々な観点から質疑を行ってまいりました。繰り返し指摘してきましたが、特別区の設置後に想定外のコストが発生し、区財政調整基金に頼らなければならないといった事態を生じさせてはなりません。区の財政調整基金は税収の急変や災害時の突発的な財政自体あるいは財務リスクへの対応に備える貯金というものであり、想定外のコストのために市民が積み上げてきた貴重な財産を枯渇させることがあってはならないと考えております。また、こうした想定外のコストに対応するために市民サービスを低下させるということがあってはならないと、そのため制度設計にあたっては、特別区の設置コストについて可能な限り高く見込んでおく必要があると考えております。これまでの知事・市長の発言を踏まえますと、副首都・大阪にふさわしい基礎自治機能を有する特別区を設置するお考えと思いますが、この素案で示された設置コストを算出する前提条件は、それぞれの特別区が、知事・市長がおっしゃるような基礎自治機能を十分に担えるものとなっているのか、そういった観点から、本日は庁舎整備経費について、質疑を行います。
※資料配布(コスト-1、2)
私の地元の生野区は、先ほど辻議員からもありましたように天王寺区・阿倍野区・東住吉区・平野区とともに、第4区(南区)というふうにされておりますが、先日示されたこの第4区(南区)の本庁舎の位置は、現在の阿倍野区役所とされていました。
今配っていただきました資料では、庁舎整備経費に関する基本的な考えが示されておりまして、コスト-2中段におきまして、①建設案(特別区域内で新庁舎を建設)というふうに記載されているところでございます。
この「特別区域内で新庁舎を建設」というのは、例えば、第4区では、阿倍野区役所を、大阪市の本庁機能、いわゆる中之島機能が集積するような総合庁舎に建て替えるということでしょうか。お伺いします。
(事務局:松山戦略調整担当課長)
素案においては、庁舎整備経費について、コスト抑制の観点を重視する考えから、既存の庁舎として利用している執務室の活用を前提としております、新庁舎の必要面積を試算しております。委員ご指摘の「建設案」については、既存の執務室を最大限活用してもなお不足が生じる場合に、その不足する面積にかかる庁舎を建設することで対応することとしております。
なお、素案では具体的な整備にあたって、新庁舎の建設や民間ビルの賃借を柔軟に組み合わせて、整備を図ることとしております。
(山田委員)
現在示されている「建設案」であっても、総合庁舎を整備するというものではないということですね。
建設案というから総合庁舎を建設すると思われている方がたくさんいらっしゃるんじゃないかなと思うんですが、不足分のみ建設するということであるということです。この現在示されているものは単純に職員配置に必要な執務室面積分の庁舎整備を計算上行っているだけで、現大阪市役所が本庁舎となる北区を除けば、庁舎がどのように整備されるのかがみえず住民の利便性や業務執行の効率性が考慮されたものになるかわかりません。なお、総合区では庁舎の不足は改修で済みますので総合庁舎の議論は特別区に限った議論であります。この総合庁舎すらない特別区が、本当に副首都・大阪にふさわしい基礎自治体といえるんでしょうか。この点、府内の中核市の東大阪お隣ですけれども22階建ての総合庁舎を有しております。
特別区は、中核市並みの権能を持っているということですけれども、今回の制度設計に当たり参考とした中核市において、総合庁舎を有していない中核市というのはあるんでしょうか。
(事務局:松山戦略調整担当課長)
各中核市における本庁舎への部署の集約状況について詳細に把握しておりませんけれども、ホームページ等で確認した限りにおいては、ひとつの庁舎において数多くの部署を集約している市もあれば、そうでない市もあるなど様々な状況でございます。
(山田委員)
どんな庁舎があるかはみなさん色々いっておられるんでご存知かと思うんですけれども。今回の制度設計にあたっては、副首都・大阪にふさわしい基礎自治機能を有する特別区を設置するということですけれども、やはりこの住民の利便性や住民サービス・業務執行の効率性をやはり十分に発揮するためには、その中核を担う特別区に総合庁舎が整備されてしかるべきではないかと思います。総合庁舎がない東京の特別区なんて聞いたことがないです。
市長は、よく、二重行政が根本的な制度からなくなる、制度的に担保されるという大きな目的のために、住民の身近なところで意見を聴く区役所を作るということは住民サービスに資することになりますし、そういった意味では庁舎整備に係るコストは必要な投資であり、必要な住民サービスそのものである、といった発言をなされます。
本当に、これまでおっしゃられた「必要な投資」ならば、第2区大阪市役所を使う第2区以外、除くそれ以外の特別区に総合庁舎を整備するとした場合のコスト試算も行うべきであると考えますが、どうでしょうか。またいつ示していただけますでしょうか。
(事務局:松山戦略調整担当課長)
繰り返しの答弁になりますけれども、庁舎整備に関する経費につきましては、コスト抑制の観点から、既存庁舎の活用を前提に試算したものを事務局案として提示しているところであります。事務局といたしましては、それを基に、協議会において議論いただきたいと考えております。
(山田委員)
現実的な議論するには現実的な数字を出していただかなければならないとと思います。この庁舎整備についてはこの建設案、これ足らず分のみ建設するということとまた今回求めている今算出されてない総合庁舎を建設するという場合。また賃借案というものあります。賃借案についてもですね、この間の市会の質疑において、例えば4区大阪市内中心部の阿倍野区の地価と第4区の平均の地価、当然我々生野区とか大和川に近い平野区とかありますんで、その平均地価で今算出しているということなんですね。これやはり場所がきまったんだから、しっかりと土地単価の見直しを行って、特別区設置コストの再試算を行うべきだと考えます。今の現阿倍野区役所、昭和40年にできたということで、50年以上は経過している庁舎でございます。今の市役所周辺に建てる土地があるのかどうかといことも踏まえて、まさか今の建物の上に建て増しするということはないでしょう。だからどうするのか総合庁舎をつくらなければならないのじゃないかなと、そういった厳密な試算を併せてしていただくよう、これはしっかり要望させていただきます。
■ 職員体制について
(山田委員)
4月3日の市会大都市税財政制度特別委員会で質疑させていただいた、職員体制についても伺いたいと思います。
特別区はチーム特別区ではなく、それぞれが一つの地方公共団体であります。それぞれの特別区に職階職種を含めて、きちんと職員を配置できなければ、現行の住民サービスの維持することができないと考えている。
※資料配布(組織-10、15)
この間、我が会派においても、素案で示された特別区の組織体制で、本当に現在の大阪市のサービス水準が維持できるのか質してきたが、その都度、組織-10に記載しているように、大阪市の特性を反映した部門別職員数を確保しているから問題ないと答弁されてきた。
そこで、先日の大都市・税財政制度特別委員会において、それぞれの特別区において、現在大阪市で実施されている住民サービスや事務が遂行できる職員数が、部門ごとに配置されているのか、素案ではそういった算定や検証が行われたのかといった観点で、私から質疑をさせていただいた。
この質疑では、組織-15の部局別職員数が示されているが、ここに示された部局別職員数は、あくまでもイメージで、記載されている職員数で、それぞれの部門において現在の大阪市と同じサービスを提供できるのかを検証したものではない、ということが確認できた。
大阪市の特性を反映した部門別職員数を確保しているから、現在の大阪市のサービス水準が維持できると説明する一方、組織-15で示された部局別職員数を基に具体的にその内容を検証しようとすると、イメージだということで議論から逃げられる。
机上の数字で議論しても正しい姿は見えてきません。実態に則した具体的な数値をもとに今の大阪市されているサービスが特別区になっても、本当に維持できるのか検証することが大事であります。市民に説明すべきなのに、まさにこうしたことでありまして、もし正確な判断をしていただくためには、地に足の着いた丁寧な議論をしっかりしていかなければなりません。やはり、この特別区の設置準備期間中に精査したところ、これ素案の職員数では実は足りませんでしたということがあってはならないです。この特別区設置協定書の議論しているときからやはり、石橋たたくような検証が必要であります。それぞれの特別区は、特性や住民ニーズのほうがいとなってくることから、それに見合った組織体制も自ずと伴ってくることであり、特別区ごとの部門別職種別の丁寧な積上げが必要になります。今はイメージだけを示しておいて、後で精査するのではあまりにも、無責任であると思います。住民の方に正しく判断してもらうためにも、検証に値する部門別職員数を速やかに示していただきたいと考えるが、どうか。これについてもおたずねしたいと思います。
(事務局:世古口組織体制担当課長)
特別区の職員体制につきましては、人口と職員総数の相関関係を踏まえ、現実に運営されている近隣中核市をベースに、中核市権限を上回る事務や生活保護などの本市の特性を反映する加算を講じることで、職員の総数を算定しております。この職員総数をもって、現在のサービスを提供できる体制は確保できているものと考えております。
なお、その内訳としての部門別職員数につきましては、本市の特性は組織別構成比に表れているとの考えから、現員数を330人上回る職員総数をその構成比で配分したイメージを素案においてお示しをしたところでございます。
具体的な部門別の職員体制につきましては、特別区の設置が決定された後、移行する時期を踏まえ、その時点での事務事業の状況も鑑み、また検討体制の整備も考慮しながら、実際に事務を所管する各局との綿密な協議・検討を集中的に行っていくことが必要と考えておりまして、設置準備期間中にお示しをしてまいりたいと考えております。
(山田委員)
相変わらず不誠実な答弁だと思うんですけども、本当にその設置準備期間中でいいんでしょうかね。特別区素案では特別区になっても政令指定都市、大阪市で行っている住民サービスは維持に努めるとしていますが、中核市をベースに算出した職員体制で本当に住民サービスが維持できるのか、やはり丁寧に検証をしたうえでなければ、正確な判断をすることができません。特別区設置時点においては、現在の事務事業の状況が変わるとおっしゃいますが、抜本的に事務が変わる訳ではないんじゃないでしょうか。例えば、特別区素案で示されている時点である平成28年度、これは決算出てますんで、大阪市が4つの特別区になるという一定の仮定を置いたうえで、それぞれの特別区の部門別職員数を算出し、平成28年時点の大阪市の職員数と比較するなどして、中核市をベースに算出した職員体制で政令指定都市、大阪市が行う住民サービスが本当に維持できるのかという検証をすることは一定、可能ではないかというふうに思います。やはり現状では熟議に足りる材料ではないと言わざるを得ません。これについても、あらためて示していただくよう要望しておきたいというふうに思います。
まあ、この議論って、やはり一度、特別区を設置しますと、現行法上、二度と政令指定都市に戻ることはできません。本日、課題となった点も指摘さしていただきました。しっかりとした数値を示していただかなければならないというふうに考えております。本当にこれまで市長がおっしゃったような、大阪市民の立場に立った制度設計になっているか、今後も丁寧な議論を、そして現実的なデータを基に、行っていくべきであるということを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。
大阪市を廃止して特別区に再編する「大阪都構想」の制度設計を話し合う法定協議会が25日、大阪府庁で開かれ、公明党が特別区移行に伴う初期コストや大規模プロジェクトに与える影響などを踏まえて財政シミュレーション(長期的な収支見通し)を詳細に検討するよう求めた。
区割りが4区案に絞り込まれてから初の質疑。府市両議会の各党が制度案の課題や改善点について府市部局の担当者に質問した。
公明党の辻義隆市議は、なにわ筋線整備など大規模プロジェクトに関する府と特別区の財政負担配分に言及。「特別区移行後も現在の住民サービスが維持できるのか」と懸念し、収支見通しの再検討を求めた。
www.sankei.com/west/print/180425/wst1804250046-c.html
大阪都構想、今秋住民投票は「困難」 公明府議幹部
2018/4/18 19:32
日本経済新聞 電子版
大阪市を廃止して特別区を導入する「大阪都構想」の住民投票の実施時期について、公明党大阪府議団の八重樫善幸幹事長は18日、記者団に「(今秋は)難しい。住民の理解が深まっていない」と述べた。住民投票の今秋実施を目指すとしている大阪維新の会も投票時期の延期を検討しており、先送り論が一段と強まっている。
八重樫幹事長は「(住民に)賛成か反対かの判断材料を与えられることが大切だが、まだ議論が不足している状況だ」と指摘した。「(大阪府、大阪市両議会の)各会派でしっかり議論を重ねたい」と語った。
松井一郎知事(大阪維新の会代表)も同日、「(住民投票の時期に)こだわりすぎると議会の同意が得られない。柔軟に対応したい」と語った。
松井知事は2019年4月の統一地方選と同時実施が望ましいとも改めて強調し、今後公明と協議するとした。公明は選挙の争点が見えにくくなるとして同日実施には反対しており、調整は難航する可能性が高い。
維新は府市両議会で過半数に届いておらず、住民投票の実施には、維新の政策に是々非々で臨んでいる公明の協力が欠かせない。
総合区制度は、住民投票を終えてから、詳細に検討を重ね、局サイドとの意見交換をしながら、制度設計の検討を進めてきた。具体的な論点については、特別委員会のなかで、吉村市長ともやり取りをしながら、総合区の仕組みと役割について固め、市長サイドで区割りのプランや具体的な制度設計を進め、各区においても説明会を開催した。この度、素案から案として、副首都推進局でまとめられ、過日行われた大都市制度協議会で提示され、4月17日に行われる大都市税財政制度特別委員会でも同様に提示されることになりました。今後は、特別区設置の協議をにらみながら、総合区の早期導入を目指したい。
特別区案については、6区案、4区案で区割りが2案ずつの4案がこれまで検討されてきたが、最終的には、4区B案で絞込み、今後、議論を行うことになった。協定書策定に向け、区名、区役所の位置、事務事業の詳細、議員定数の案などが今回示された。具体的な区名のなかで、淀川三区と此花区、港区の5区をまとめる区の名称について、「東西区」が提示されたことから、波紋を呼んでおり、今後の検討課題として浮上している。
さらに、当初、予定していた、特別区設置による経済効果の検証については、一回目の公募が不調に終わり、本予算で再度公募することがあきらかになった。
また、私が、今後、予定されている淀川左岸線、なにわ筋線、万博、IRなどのビッグプロジェクトが特別区の財政にどのような影響を与えるのか、シミュレーションの追加を要求していたのだが、その資料についても提示していただいた。今後の検討課題として精査したいと思います。
公明党の八重樫でございます。 これまでの本協議会での新たな大都市制度に対する質疑を踏まえ、現時点での我が会派 の意見を申し上げます。 初めに、前提として現在の大阪が置かれている社会情勢を確認し、今後、行政に求めら れている制度改革の必要性について申し上げます。
現在の日本は少子化と世界最速で進む超高齢社会の上に人口減少が始まっております。 実際、大阪府の人口は平成22年の887万人をピークにして、30年後の平成52年には137万人 も減少し、750万人程度になるとされていて、行政運営に責任を持つ我々議員にとっても、 今さまざまに手を打つべき重大な局面を迎えていることは論を待ちません。 医療、介護などの社会保障費の増大、生産年齢人口の減少による税収確保の難しさなど となってあらわれる財政上の厳しい問題は、今後の行政組織のあり方やこれまでの行政サ ービスの見直し、再構築の必要に迫られております。 限られた財源と職員体制でより多くの住民の満足を得られるよう、行政コストのスリム 化を進めながら、一方で、できる限りの住民サービスの充実に努めるという、相反する課 題解決が求められている現実から、まず、着手すべきは行政組織のスリム化であると考え ます。
この点も踏まえ、まず本協議会に参加する我が会派の姿勢について申し上げます。 私どもは前回の住民投票の結果や、これまでの府内での選挙であらわれた民意も踏まえ、 住民が求める大阪のあるべき姿についてさまざまに検討してまいりました。
この中で、大阪市を残したまま住民自治の拡充を図る総合区制度がこの大阪にはふさわ しいと考え、この間、総合区制度の導入を訴えてまいりました。
一方で、知事・市長においては副首都大阪とのスローガンを掲げ取組みを進めており、 新しい大都市制度として特別区制度と同時に私どもの提案する総合区制度も検討されてお ります。 私どもは、大都市制度という制度論が大阪の発展に直接つながるものではないと考えて おりますが、今後求められる自治体がどうあるべきかは重大な課題と考えており、大阪府 と大阪市が活発に議論していくことは非常に大切なことだと考えております。 前回の法定協議会では、議論が熟さず、大阪市を廃止するのかしないのかといった点の み論点が収れんされてしまった反省があります。 このため、我が会派としては、総合区、特別区のそれぞれの制度のメリット、デメリッ トについて住民目線で議論し、大阪市民だけでなく府民の皆様にもご理解いただきたいと の思いで本協議会に参加しております。
この法定協議会で協定書案の議論をする中で、総合区、特別区の両制度について大切な 情報を提供し、住民の皆様の理解が十分に深まっていくことを期待しております。 次に、現在示されている特別区素案について、これまでの本協議会や大阪市会での大都 市・税財政制度特別委員会における質疑などを通じて明らかになった特別区制度のリスク について確認をいたします。 政令指定都市である大阪市という自治体がなくなった場合、現在の住民サービスがどの ように変化する可能性があるのか、最も住民にとって大切な情報を確認してまいりました。 これまで大阪市は大きな財源を持って大阪府からの制約を受けることなく独自でサービス を決定し実施してまいりました。それが政令市であることの最大のメリットであります。 その結果として、府内の他の市町村がうらやむようなさまざまな手厚い住民サービスを 実現しております。その象徴とも言えるのが敬老パスであり、中学生への塾代助成であり、 幼児教育の無償化、子ども医療費の助成などであります。
これら大阪市の独自事業が大阪市が廃止されて特別区となった場合、果たして本当に維 持できるのでしょうか。特別区素案では、住民サービスを低下させないよう適正に事務を 引き継ぐとか、大阪市が独自に実施してきた特色ある住民サービスについては、内容や水 準の維持に努めることが示されていますが、そこには何ら法的拘束力が無いことが確認さ れました。 また、示された財政シミュレーションは、今後、制度変更などで事業費の増加が見込ま れる敬老パスや幼児教育無償化の拡充分は見込まれていないことも確認できました。 さらに、特別区の設置に向けては莫大なコストが必要となります。設置コストが一番低 くなる試案A、4区A案においても建設案のイニシャルコストは479億円、毎年のランニングコストは39億円必要となります。これを特別区設置31年後の平成64年まで試算した場 合、特別区を設置するために1,752億円必要となることも大阪市会での質疑で確認できま した。
特別区は、大阪市がこれまで実施してきた独自の住民サービスを継続しようにも、国か らどの程度補てんされるかわからない特別区設置コストを捻出した上で、これまでの住民 サービスを継続できる予算が確保されるのか、本当に財政調整交付金が十分に手当てされ るのか、今後も検証を行っていく必要があります。 また、広域的な事業として、大阪府に移管されるビッグプロジェクト、具体的には、な にわ筋線や淀川左岸線延伸部、IR、万博などは、今後、事業が本格化することで特別区 設置を上回る莫大な予算が必要となります。特別区設置に係るイニシャルコスト、ランニ ングコストを捻出しながら、このビッグプロジェクトも推進できるのかは、全く検証され ていません。
さらに、こうした財政調整財源の配分を最終的に決めるのは大阪府知事や特別区長、特 別区議会だけでなく、同時に大阪府議会でも可決が必要です。しかしながら、府会議員88 人のうち現在の大阪市内選出議員は27人しかおらず、例えば敬老パスのように他の市町村 住民にはないサービスを特別区民だけに優遇する制度が大阪府議会で可決されるかは甚だ 疑問と言わざるを得ません。当然、特別区だけでなく他の市町村の住民にも同じようなサ ービスを求める声が上がるはずです。
次に、広域機能の一元化についても具体的にはこの6年間の取組みの中で、いわゆる二 重行政と言われる府市事業の一元化が推進されてきましたが、一元化したことによる行政 コストの縮減効果はどれほどあったのか、しっかり検証していくべきと感じています。
以上、特別区素案については特別区が実現した場合、現在の住民サービスが維持される のか、さらに拡充されるのか、縮小せざるを得ないのか、この間推進された広域機能一元 化によってどの程度の財政縮減効果があったのか、今後、広域機能を制度的に一元化しな ければ生み出せない財政経済効果はあるのか、市民、府民の皆様にもご理解いただけるよ う、今後さらに検証、議論していく必要があることを指摘しておきます。
最後に、総合区制度です。 総合区については現在、大阪市から素案が示され、大阪市会においても議論されている ところです。先ほども申し上げましたが、政令指定都市・大阪市というスケールメリット を生かしつつ、また、高度で専門的なサービスを残しつつ、住民自治の拡充も図れる総合 区制度が、大阪が目指す自治体改革としてふさわしい姿であると考えております。 大都市制度改革は大阪市や大阪府の将来のあり方を決める重要な議論であり、市民、府 民の皆様が納得して判断できるようしっかりと丁寧に議論していく必要があります。 ただ、昨年大阪市内で行われた住民説明会を見る限り、現状では大都市制度改革の必要 性や総合区制度の効果などが市民の皆様に十分伝わっていないのも事実であり、さらなる 情報提供が必要であることを改めて指摘しておきます。
重なりますが、大阪が今後取り組むべき大都市制度について、よりよい制度案づくりに 向けて今後とも本協議会や大阪府議会、大阪市会で真摯に議論していくことが必要である ことを最後に申し上げて、我が会派の意見表明といたします。
第7回大都市制度協議会
平成30年1月30日(火) 10:00~11:38
各派の意見開陳内容は議事録をご覧ください
第7回大都市制度協議会議事録
2015年1月13日
特別区設置協議会(法定協議会)意見開陳
特別区設置協定書案について、我が党の意見と態度を申し上げます。
私たち公明党は、法定協議会においてこれまで様々な問題、課題を具体的に
指摘し、また建設的な提案を行うなど真筆に議論を重ねて参りました。
しかし、昨年1月、特別区の区割り案の絞り込みを巡って、知事・市長・維
新の会と他の会派の対立から、維新が府議会の委員から他会派を排除して以降、
結果的に7月に維新だけで協定書案を決定しました。
その維新案の協定書は、あまりにもずさんで問題点が多く、昨年10月の大
阪府議会、大阪市会の両議会で否決しました。
ここで私たち公明党が両議会で指摘した問題点を重ねて申し上げます。
大阪市を解体し府市統合による再編効果について、知事は当初、毎年400
0億円ほどの財源が生まれると主張していましたが、この額については積算の
根拠なく発言していたことが、知事自らの答弁で明らかとなりました。結局、
純粋な統合効果はわずか毎年1億円にすぎません。
効果がないばかりか、特別区設置によるコストの増加については、庁舎改修
と新庁舎建設費で497億円、システム改修費で150億円をはじめとして、
総額680億円もの多額の経費がかかることが明らかになっています。
大都市局が発表した財政推計では、平成29年の発足からスタートダッシュの
重要な5年間は、特別区の収支不足が続き、その累計は858億円の赤字、一
部事業が民営化されない場合は1071億円の赤字となることが明らかとな
りました。
新たな広域行政を担う府は、大阪の成長・発展の力を発揮するどころか、特
別区の財政破綻を回避するために全力を挙げるということになりかねません。
次に、ニア・イズ・ベターの観点から、特別区は中核市並みの権限を持つ基
礎自治体として、住民自治の充実を図るとしていましたが、協定書案では、中
核市並みの権限と財源を保証する「法改正」を見送り、大阪府の事業を府の条
例によって特別区に権限移譲する事務処理特例条例の手法によるとしたこと
から、特別区の自主性と財源保証は不確実なものとなりました。
具体的な例として、特別区の街づくりにおいて重要な「都市計画上の用途地
域の権限」が無くなり、中心市街地の再開発を主体的に行うことができなくな
ってしまいました。
さらに、特別区の財源については、約6300億円の市税が4分の1に激減
します。財政調整交付金の配分割合も不透明であり、とてもまともな基礎自治
体とは言えません。
また、財源の配分、新たな財務リスクに対する負担のあり方など、自治体経
営の根幹となる財政調整を担う「都区協議会」については、意思決定の仕組み、
紛争処理の方法、第三者機関設置に関する具体的な内容が明らかではありませ
ん。将来のトラブルが懸念されます。
さらに健康保険、介護保険、水道事業、システム管理、施設管理など予算規
模6000億円を超える大規模な一部事務組合(政令市である堺市の全会計に
匹敵する)を設立することで、府・一部事務組合・特別区の三層構造を作り出
し、区民の声が直接届かない仕組みとなります。
こうしたことから、二重行政の解消、中核市並みの権限、毎年4000億円
の効果という目的が全く達成されないことを協定書は示しています。
このたび再提出された協定書案は基本的に同じものであり、この協定書によ
る「都構想」が実現されれば、大阪市民・府民の生活に重大な悪影響が出るこ
とは明白であり、再提出された協定書による「都構想」には断固反対であると
申し上げます。
私たちは、法定協議会において、仕切りなおして、1年でも2年でも時間を
かけて議論しようと主張しましたが、知事・市長が任期中に結果を出すために
は、何度でも同じものを出すという頑な姿勢であったことから、今後も知事・
市長と議会のこれまでのような不毛な対立が続くことが想定されます。そうな
れば府政・市政はますます混乱し、府民のための府政、市民のための市政の本
来なすべき仕事が置き去りにされてしまいます。今、必要なことは「都構想」
ではなく、大阪の経済を停滞から成長へと転換する、府民・市民生活の向上で
す。
公明党は大阪の発展のため、都構想議論の収束を図ることを目指し、大阪市
民の皆様とともに、住民投票で決着をつけることを決断しました。
そこで、法律の手続きの上から、住民投票を実現するため、議案としての協定
書案を承認することを表明し、意見の開陳といたします。
特別区設置に関する協定書が10月27日にちに府市両議会で否決された。三年間に及ぶ大阪都構想の設計図にどのような不備があり、議会はどのような指摘をおこなったのか、市民、府民のみなさんにわかりやすく解説するページです。
一番大きな理由は、効果額毎年4000億円がなかったということ、財源がなければ、ニアイズベターの理想も、投資効率の一元化による成長戦略も描けないという、大阪都構想の目的がすべて皆無になったこと。さらに、効果額がないばかりか、新たな特別区庁舎を3つもつくる新たなハコモノ行政の無駄遣いや職員200人の増加、ランニングコスト毎年20億円など、これまでの市民サービスを削減するほか、新たに特別区が臨時財政対策債(借金)を重ねることが明確になり、とても容認できるものではないということがはっきりしたのです。
私は、公明党大阪市会議団を代表して、このたび本会議に上程されています議案333号「特別区設置協定書の承認について」の議案は、承認できないことをし、以下その理由について述べます。
特別区設置協定書については、10月9日・10日に開催された財政総務委員会、10日に開催の5つの常任委員協議会、22・23日の本会議一般質問におきましてさまざまな角度から質疑をしてまいりました。その結果、市長が設計図を呼ばれているこの協定書には、これまで喧伝されていた効果やメリットがほとんどなく、さまざまな不備があり、そのまま実現すると市民生活に多大な影響を与えることが明らかです。
市長の答弁から感じた1つ目は、統治機構の変革とも言われますが、自治体の構造をいじったくらいで大阪経済が成長に転じるとは全く思えません。2つ目に、大阪市を解体しその権限を広域自治体が奪うことは、地域主権から基礎自治体中心とされる考え方からは矛盾します。3つ目に、府に移行したからと言って、直ちに国から財源・権限が移譲されるわけではありません。府と市のコップ内での財源・権限の整理にすぎず、再編後の府の財政シミュレーションが全く示されていないことも不透明感を感じます。4つ目に、多くの都市が合併で権限を持つ政令市の仲間入りをしている中で、わざわざ政令市を放棄してまで5つの特別区にする意味がわかりません。大阪市を解体すれば、関西きっての大都市は京都市、神戸市のみであります。
マスコミの一般質問の報道で、議論は平行線と論じられましたが、平行線では無く、捻じれの議論で、未来永劫議論をかみ合わせるつもりが無いように私は感じました。
まず当初標榜されていた中核市並みの権限を持つ特別区にすることに関しては、法令改正を行うことをなぜかあきらめ、事務処理特例という見通しの立たない決着をつけてしまったことは致命的だったと言わざるを得ません。街づくりの重要な権限である都市計画法上の用途地域の指定など大事な権限が無くなり、中心市街地の再開発を主体的に行うことが無くなってしまいます。
財源についても、大阪市の保有財源であった普通3税の固定資産税、法人市民税、特別土地保有税と、目的税の都市計画税、事業所税、さらに宝くじ税が府の財源とされ調整されます。25年度決算で6,418億円の市税がわずか4分の1の区税、1,618億円に激減、府に区は埋もれる依存した団体になってしまいます。特別区に残される税源・財源は、個人区民税、区たばこ税、軽自動車税のみで、特別区独自で街の活性化をいくら図ってもその見返りはありません。財源調整交付金の名目で、必要に応じて特別区に分配すると謳ってはいますが、配分割合や特別区の意見がどこまで反映されるのか、先送りされています。極めて重要な位置づけに関わらず甚だ不透明であり、まともな自立した基礎自治体とは言えません。
市長は行政の予算編成権が近くにある特別区が今の府市体制より優れていると何度も強弁されましたが、要は近くに来ても裏付けとなる財源が無いと意味がありません。市民サービスの低下を招くだけです。中核市並みどころか、一般市以下の、自立性も魅力も無い、発展・競争性も発揮されない自治体が5つも誕生することになります。中核市並みは、この協定書によって幻になったと断言させて頂きます。
さらに、府市統合の目的であったニア・イズ・ベターでありますが、それを実現するために30万人規模が最適であるとして、大阪市の大都市税財政特別委員会で維新の皆さんが主張し続けていたことは記憶に新しいところです。しかし、今回の協定書では、人口70万人規模の特別区が含まれるなど、当初の主張との乖離がみられます。なぜこうなったのか。結局のところ、コストが少ない方を選んだに過ぎず、当初の理由が脆弱であったのでしょうか。本来目的はそこになかったのか。理念を捨て、コスト優先で、ニア・イズ・ベターは方便であったとしか言えません。住民自治の視点が欠落の上、本質的な府市統合の目的を捨て去ったと言わざるを得ません。
次に、二重行政を解消すれば、大阪が豊かになると、維新のポスターにも示されました。その統合効果ですが、これも離散霧消してしまいました。二重行政批判は、役割分担をしっかりと行っていれば、住民に不都合はないはずです。松井知事は、第1回府市統合本部会議などで、大阪市と大阪府の予算を考えれば、二重行政の解消により毎年四千億円からの財源を生み出すことは最低ライン、これは政治の約束と打ち上げられました。しかしながら、いくら精査しても、そのような統合効果は皆無で、昨年示されたパッケージプランでは、純粋な統合効果は、わずか毎年1億円に過ぎず、喧伝していたものが、実は4,000分の1以下になってしまいました。市長も、4,000億円の可能性があるなど、何度か言葉を変え、効果額は多様な評価法があると、苦しい答弁をされましたが、府市再編しなくても、できるものも加味されています。統合効果がないばかりか、特別区設置によるコスト増、つまり、デメリットについては、庁舎改修費、新庁舎建設費で497億円、システム改修費150億円、移転経費5億円、その他街区表示板、看板、広報、備品などで9億円、総計最大680億円もの多額の経費がかかることが明らかになっており、コストもメリット、デメリットからみれば、マイナス効果しか見通せない状況に愕然といたします。
次に、事務配分を急ぐあまり、新たに誕生する巨大化した一部事務組合についてです。この一部事務組合の予算規模6,400億円は、政令指定都市堺市の全会計にほぼ匹敵し、究極の不効率が明白です。国民健康保険や水道事業は本来は基礎自治体が各々実施すべき事務事業です。自治体の規模が小さい場合など、各自治体がそれぞれの判断で、協議により設置するものです。市長は、他の一部事務組合はうまくいっているとされますが、規模も、中身の複雑さも理解されていないのでしょうか。スケジュールありきの協定書の作成を急ぐあまり、基礎か広域かの明確な物差しもなく分けようとしたために、行き場のなくなった事務事業を一部事務組合に押し込めるだけ押し込めて、巨大化したと言わざるを得ません。一部事務組合の代表者は、特別区長の互選で決めるとなっていますが、5人の区長が公選ということになれば、その公約や有権者の声などどう調整をされるのか、一つの事務事業でさえ、利害が相反する中、総務省でさえ、住民から見えにくいと指摘されているのに、百以上の事務事業について、機動的な意思決定ができるのでしょうか。
また、事務組合における議会の問題や、処理業務の多さなど、これまでの一部事務組合のスキームで推し量ることはできず、規模といい、事務内容といい、特別区の共通事務を共同処理する巨大な一部事務組合というよりは、全部事務組合と呼んだ方がよさようです。結局、利害が相反する場面で、誰が責任をもって決定するのかあやふやで、特別区、一部事務組合、大阪府の三重行政の誕生といえるでしょう。市長は三重行政ではなく、役割分担でできると答弁、ならば、現状の府市も協議と調整で役割分担すればいい話です。二重行政の解消を目指し、効果額四千億円を見通し、ニア・イズ・ベターを実現しようとしたら、三重行政が誕生し、デメリットが680億円のコストと、このような事態を誰が予想したでしょうか。
統治機構の一元化も、ニア・イズ・ベターも、4,000億円の効果額も、中核市並みの特別区の実現も、全ての目的が達成できないことを証明したのが、この特別区設置の協定書であったということが、委員会質疑や一般質問で明確になったと言えます。論議は尽くされました。当初、市民が市長に期待されていた発信力、突破力も協定書では市長の意地と話題づくりだけで推し進められ、後は野となれ山となれでは、孫、子の代まで禍根が残り、大阪市民が不幸になる、後戻りできない代物です。
そういう結果が出るころには、市長は居られないでしょうが、本来の法定協議会をスケジュール通り開催し、維新以外の会派からの課題の指摘について、真摯に取り組んでおられれば、このようなやっつけ仕事で不備だらけの協定書を作ることはなかったでしょう。
財政が厳しい中6億3,000万もの巨額の税金を使い、出直し選挙まで実施されました。しかも他会派を排除してまで作成を急ぎ、特別区に解体される側の大阪市の委員がいない状況でまとめられ、結果として府市統合再編の本来の目的をすべて失わせることとなってしまいました。
大阪府議会では、去る23日の本会議において法定協議会の委員構成が正常化されました。その正常化された法定協議会に基づき、市長の言われる議論不十分という論戦を交わし、市民の目線に立った議論を深め、真の目的を実現できる協定書作りに仕切りなおすべきです。
この9ヶ月間の月日とコストの浪費について、提案者である市長と知事は大いに反省され、大阪の発展、次世代のために公選職の職務に全力を尽くすべきです。住民投票の重要性を認識するからこそ、市民に対し移行すれば二度と大阪市に戻れない判断に当たって、十分すぎるくらいの具体的な内容が示されるべきです。
ゆえに、この特別区設置協定書の承認議案は私どもの会派は、承認できかねます。以上です。
都構想めぐり論戦、27日に議案採決 大阪市議会 2014年10月23日
大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)が目指す大阪都構想の設計図となる協定書議案が提出されている大阪市議会9~12月定例会の一般質問が22日、始まった。都構想をめぐり橋下市長と野党会派が論戦を展開。都構想議案は27日の本会議で採決されることになり、双方は火花を散らした。
構想で導入される一部事務組合について触れた公明党の土岐恭生議員は「特別区、一部事務組合、大阪府の三重の行政体ができる。市民にとっては二重行政の解消どころか三重行政になる」と批判した。
これに対し、橋下市長は「三重行政になるとの指摘は全くの事実誤認。仕事は役割分担ができている」とした上で「結局、大阪都構想の議論は今の大阪府庁、大阪市役所の体制と、新しい体制とどちらがましなのかという議論」と返した。
また、自民党の川嶋広稔議員は今議会に提出されている、“二重行政”を解消するため大阪府市と堺市の各首長と議員で構成する「大阪戦略調整会議」の設置条例案に触れ「無理やり特別区に移行するより、素早く対応できる」と主張。
橋下市長は「二元代表制についてまったく整理されていない。不十分どころか、まだ議会に上げる中身になっていない」とはねつけた。
この日の本会議前の運営委員会で、27日の本会議で都構想議案の採決が行われることが決定。市議会は野党会派が過半数を占めており、議案は否決される公算が大きい。
橋下市長は「最後は有権者に判断してもらうことが全て。議会は住民投票に付すにふさわしい環境を整える役割に徹していただきたい」と野党会派をけん制した。
大阪都構想の協定書が府市両議会で否決されたことから、橋下市長は、住民投票できめるべき、たかだか30%程度の得票しかとっていない議会が決めるのは、おこがましいとして、住民投票の必要性を強調、新たに住民投票を求めるための住民投票を請求する署名運動をするという奇策を披露しましたが、そもそも、特別区設置法になぜ、住民投票が盛り込まれたのか、知る人は少ない。
そもそも、住民投票を特別区設置法に盛り込んだのは、公明党だった。政令市から、マイナス要因が多い特別区への移行を議会だけで判断していいのか?というところから、納得できるかどうかの判断を住民にしてもらうために住民投票を最後のセーフティネットとして入れたわけです。当時のみんなの党の案では、一気に議会で決めて大阪都に突き進む案でしたが、民主、自民の間に入って、このセーフティネットの項目を入れ込んだのが真相。みんなの党の柿沢未途議員も、党のホームページで、法案成立の経緯を語っているが、住民投票については、同党としては、望んでいなかったことがよく分かる動画が残っている(http://www.your-party.jp/activity/gian/001456/)
当時、衆議院総務委員会で行われた質疑の様子が議事録にあるので掲載いたします。住民投票については、明らかに議会が特別区設置を承認したとしても、政令市から特別区になる格下げを住民として了承できるかという意味での最終判断を住民意思によって決めてもらう趣旨であり、今回のように議会がマイナス要因を列挙し、首長側がまったく、そのソリューションを示さず、住民の生活に支障をきたすことを判断し、否決した場合を想定して、住民投票でそれでも特別区になりたいという声に応えるなどという事態を考えたものではないことは明らか。
橋下市長、松井知事には、法案成立過程を思い起こしていただき、法の趣旨に沿って、今後の大都市の運営に尽力されることを望みたいと思います。
平成24年8月7日 衆議院総務委員会
佐藤議員の答弁
○佐藤(茂)議員 今、西委員が御指摘ありましたように、大きく地方自治法との違いというのは、今御指摘のとおりの三点は大きな相違点だと思っております。
それぞれ今挙げられたことの例について申し上げれば、住民投票につきましては、関係市町村が廃止されて特別区が設置されることによって、関係市町村の住民には住民サービスの提供のあり方というのが大きな影響を受けるわけですね。特に指定都市が今回廃止になるという、大阪市のような場合、そういう場合については権限や税財源の面でいわば格下げとも言える事態が生じて、通常の市町村合併以上に住民の生活等に大きな影響があると考えられます。ですから、本当にそういう指定都市を廃止して特別区という形にしていいのかということについて住民の意思を尊重する、そういうことも大事であろうということで、住民投票を必要とさせていただきました。
二点目の、特別区設置協議会の設置を義務づけたと。現行法では協議会はできるという形になっていたかと思うんですけれども、設置を義務づけたことについても、道府県における特別区の設置というこの新たな手続に関して必要な事項について、原則として関係自治体の自主的な判断をできるだけ尊重してあらかじめ定めておくこととするために、特別区設置協定書の作成と、その他特別区の設置に関する協議を行うための特別区設置協議会を設置するものとしたところでございます。
三点目に、事務分担に関する意見申し出に係る措置、これも新しい要素でございますが、実際に特別区を設置して運用してみた、その運用していく中で、特別区を設置する前に想定していた事務配分や財政調整の仕組みが想定どおり機能しないとか、あるいは実際に運用していって新たな必要性が出てきたという場合に、特別区の制度の円滑な運用を実現する、そういう観点から、事務分担等に関する意見申し出に基づいて政府が新たな措置を講ずる必要の有無について検討して、期限を六カ月程度ということをめどにして、必要であると認めるときには法制上の措置等を講ずる、そのようにしたところでございます。