昨年来から議論をしてきた地下鉄民営化に関して、市長サイドがようやく譲歩する姿勢を見せはじめた。当初は、強引な1区間のみの値下げやその料金値上げを盾にした民営化強硬論で議会にうんと言わせる方向性であったが、これに議会が猛反発。共産を除く各会派も特段、民営化そのものを排除しているわけではないことから、政局がらみの対応に一時は、否決の声も上がっていた。
しかし、ここにきて、橋下市長側が軟化し、事業計画案を条例化し、それを認めてもらうことで、地下鉄の条例廃止にまるをつけてもらうということ。事業計画については、しばらく時間がかかるが、交通局側もこれまでの27年4月にこだわらず、じっくり腰を据えて、民営化を図るべしという考えのようだ。
確かに、民営化により、130億円の税金を払い、敬老パスなどの補助金がなくなると、さらに、100億円が飛ぶわけで、現在最高益333億円とはいえ、民営化後は、100億円程度の収益となる、人件費の削減や契約管理で100億円以上の効果を見込むが、事業の多角化などでの収益構造の変革をしない限り民間企業として生き残り、かつ、あらたな投資をすることは難しい。
これまでも、交通水道委員会や交通政策特別委員会で指摘してきたことだったが、リセットして民営化プランを練り直すことには大賛成だ。目を見張るような事業計画が出てくることを望みたい。
大阪市営地下鉄条例案“修正版”を野党に提示
大阪市営地下鉄の民営化を目指す大阪市が議会で審議中の民営化条例案の内容を野党が問題視していることを踏まえ、野党側の指摘を盛り込んだ条例案の修正案の骨子をまとめ、野党側に提示したことが4日、分かった。条例案可決には野党の協力が不可欠。橋下徹市長は今後、現在の条例案を取り下げて修正案を再提出、野党の賛同を求めていくとみられる。
市側はこれまでに現在の条例案とは別に、民営化後の事業展開などを盛り込んだ民営化基本プランを策定。野党側は条例案に市営としての地下鉄事業を廃止するとしか書かれておらず「民営化基本プラン実行の担保がない」などと批判し、今月中にも否決される公算が大きくなっていた。
修正案の骨子では市営地下鉄を新たに設置する株式会社に引き継ぐとした上で、新会社の事業の範囲や中期目標などを定めた基本方針を市長が定め、市議会の承認を得るとしている。
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